この記事を読めば「これがわかる!」
- 銀行へ支払う保証料とは?
- 保証料の「外枠方式」「内枠方式」とは?
- 「外枠方式」「内枠方式」のメリット・デメリット
- 未来に対応した保証料の支払い方はこれ
こんにちは。ゼロ仲介鈴木です。
住宅ローンをかしこく利用しようと思うと「金利が低い」というだけではなく、「住宅ローンの借り方」についても考える必要があります。
銀行へ支払う保証料ですが、支払い方は2パターン。
どちらがどうなのか。
メリット・デメリット、戦略的にいくなら、を書きました。
きちんと理解して選んだら、それが正解です。
(どちらが絶対正しいっていうのはありません)
ここからは弊社住宅ローン担当、田中がご説明します
こんにちは、田中です
▶田中のくわしいプロフィールはこちら
弊社のYouTubeチャンネルで「住宅ローンの金融機関を選ぶ基準」について田中と鈴木で話しています
▶参考動画:住宅ローンの金融機関を選ぶ基準(動画時間6分43秒)
そもそも保証料とは
(1)保証料とは
そもそも保証料とは何なのかと言いますと。
住宅ローンの保証料とは、万が一あなたが住宅ローンの返済ができなくなった時に、あなたに代わって住宅ローンの肩代わりを保証会社にしてもらうために払うお金です。
支払い先は保証会社(≒銀行)です
▶参考記事:「住宅ローン保証料とは?意味のあるの?読めば一発でわかります!」
くわしくはこちらをご覧ください。
(2)保証料はどうやって金額が決まるのか
保証料の計算の仕方は、
「借入額 × 銀行所定の利率」
です。
この所定の利率は、銀行によってもちがいますし、借入期間によってもちがいます。
一般的に、借入期間が35年だと、おおよそ利率は2%。
保証料が不要な銀行もあります
ほとんどの銀行で保証料は必要です。
ただ、なかには不要な銀行があります。
保証料が必要な銀行にはこの記事の内容があてはまるので、よく読んでいただけたら!
保証料が不要な銀行は、その保証料分費用が浮いてラッキー・・、なわけではなくカラクリが。
(1)保証料が必要な銀行一覧
- 三菱UFJ銀行
- 三井住友銀行
- みずほ銀行
- りそな銀行(保証料型融資)
- 関西アーバン銀行
- 池田泉州銀行
- 近畿大阪銀行(保証料型融資)
- 京都銀行
- 紀陽銀行
- 南都銀行
- 三井住友信託銀行(保証料型融資)
- 三菱UFJ信託銀行
(2)保証料が不要な銀行一覧
*保証料が不要な銀行について
保証料が不要ですが、事務手数料がかかります。
事務手数料はおおよそ
「借入額×2.16%」
ですので、必要費用としては保証料を支払っているのと変わりません。
(結局名目がちがうだけ)
▶参考記事:「融資手数料型」とは?「保証料型」のちがいなど、くわしい解説はこちら。
保証料の支払い方式は2つ
「外枠方式」と「内枠方式」の2つ。保証料の支払い方は、このどちらか。
支払方法がどうちがうのか、メリット・デメリットを理解してください。
(1)外枠方式(一括前払い方式)
まずはこちら
保証料外枠方式
= 保証料を「一括前払い」。
借入金額×銀行所定の利率
2,880万円借入れて、返済期間35年だとすると、
2,880万円 × 2.0614% = 59万3,683円
を借入れ時に一括で現金で支払います。
外枠方式(=一括前払い)の
●メリット
内枠方式より返済総額が少なくなることが多い
●デメリット
購入時に現金で一括で支払う必要がある
(2)内枠方式(分割支払い方式)
もうひとつはこちら
保証料内枠方式
= 保証料を「分割払い」。
分割支払い?
どういうことかといいますと、
「外枠方式(一括前払い)」での借入金利にさらに金利(0.2%~)をプラス
↓
金利をプラスした分(+0.2%~)支払額が増える
↓
その増えた分が保証料の分割支払い分
という考え方です。
内枠方式(=分割支払い)の
●メリット
購入時に現金一括で支払わないため、当初の費用が少なくなる
●デメリット
外枠方式よりも総支払額が多くなることが多い
▶参考記事:【検証】手持ち現金100万円で、価格3,000万円の新築一戸建ては購入できるか?
諸費用自己資金100万円で、価格3,000万円の新築一戸建てが購入できるか、シミュレーションしてみました。お金は足りるのか?
くわしくはこちらをご覧ください。
外枠方式・内枠方式での支払総額をシミュレーションしてみます
借入れ時に保証料を一括で支払う「外枠方式」と、借入れ時に保証料を支払わずに借入れ期間内に分割で支払う「内枠方式」。
総支払額だとどのくらいの金額差になるのかシミュレーションしてみます。
今回シミュレーションで使用したのはりそな銀行の保証料率。
りそな銀行 保証料一括前払い型
借入期間 | 保証料率 |
15年 | 1.1982% |
20年 | 1.4834% |
25年 | 1.7254% |
30年 | 1.9137% |
35年 | 2.0614% |
(くわしくはこちら)
保証料率は各銀行によってちがいますので、確認ください。
(1)シミュレーション1
2,780万円の借入れで、借入金利0.625%(変動金利)・借入期間35年の場合。
●保証料外枠方式(一括前払い・金利そのまま)
借入金利(0.625%) → 3,095万8200円
保証料 → 57万3,069円
総支払額 → 3,153万1,269円
●保証料内枠方式(分割支払い・金利+0.2%)
借入金利(0.825%)→ 3,201万5,760円
保証料 → 0円
総支払額 → 3,201万5,760円
●外枠方式と内枠方式の総支払額の差は?
35年間で48万4,491円の差(一括支払いの方が得)
→ 1年間で1万3,842円の差(一括支払いの方が得)
→ 毎月の支払いでは1,153円の差(一括支払いの方が得)
(2)シミュレーション2
2,880万円の借入れで、借入金利0.6%(変動金利)・借入期間25年の場合
●保証料外枠方式(一括前払い・金利そのまま)
借入金利(0.6%) → 3,102万0,900円
保証料 → 49万6,915円
総支払額 → 3,151万7,815円
●保証料内枠方式(分割支払い・金利+0.2%)
借入金利(0.8%)→ 3,805万1,580円
保証料 → 0円
総支払額 → 3,178万5,300円
●外枠方式と内枠方式の総支払額の差は?
25年間で26万7,485円の差(一括支払いの方が得)
→ 1年間で1万0,699円の差(一括支払いの方が得)
→ 毎月の支払いでは891円の差(一括支払いの方が得)
(3)シミュレーション3
2,480万円の借入れで、借入金利0.725%(変動金利)・借入期間35年の場合
●保証料外枠方式(一括前払い・金利そのまま)
借入金利(0.725%)→ 2,808万6,660円
保証料 → 51万1,227円
総支払額 → 2,859万7,827円
●保証料内枠方式(分割支払い・金利+0.2%)
借入金利(0.925%)→ 2,904万0,060円
保証料 → 0円
総支払額 → 2,904万0,060円
●外枠方式と内枠方式の総支払額の差は?
35年間で44万2,233円の差(一括支払いの方が得)
→ 1年間で1万2,635円の差(一括支払いの方が得)
→ 毎月の支払いでは1,052円の差(一括支払いの方が得)
(4)シミュレーション4
3,780万円の借入れで、借入金利0.6%(変動金利)・借入期間30年の場合
●保証料外枠方式(一括前払い・金利そのまま)
借入金利(0.6%)→ 4,131万3,240円
保証料 → 72万3,378円
総支払額 → 4,203万6,618円
●保証料内枠方式(分割支払い・金利+0.2%)
借入金利(0.8%)→ 4,252万9,680円
保証料 → 0円
総支払額 → 4,252万9,680円
●外枠方式と内枠方式の総支払額の差は?
30年間で49万3,062円の差(一括支払いの方が得)
→ 1年間で1万6,435円の差(一括支払いの方が得)
→ 毎月の支払いでは1,369円の差(一括支払いの方が得)
(5)シミュレーションまとめ
どうシミュレーションしても「外枠方式(一括前払い)」で保証料を支払うのが総額で得。
借入期間、借入金利、借入金額にかかわらず「外枠方式(一括前払い)」で保証料を支払うのが総額では得。
でも、ホントにそうなのか?
保証料の支払い方はどう考えるのがいいのか
(1)物件購入時(住宅ローン借入れ時)に現金を手元に置いておく大切さ
たしかに、保証料を「外枠方式」で支払うと35年間での総支払額は得。
ただ、将来の総支払額のため購入時に現金一括で支払うのがベストな選択肢かどうかは、ご家庭によります
20歳代のご夫婦の場合、がんばって貯めた諸費用のうち60万円の現金出費は大きいはず。
たとえば、お子さんがこれから生まれる、これから大きくなるってタイミング。
がんばって貯めた60万円をいまぜんぶ使っていいのか?
ちなみに、お家を買ってからも予想以上にお金がかかります。
▶参考記事:「新築一戸建て建売住宅を購入したあと、思いのほかにかかるお金一覧。盲点かもしれないですよ。」
これは総支払額が少なくなる、というのとはまた別の話やな
(2)繰り上げ返済すると保証料の返戻(へんれい)がある
保証料を「外枠方式」で支払う場合、実はその保証料は35年間の借入れに対しての保証料なんです。
どういうことかというと、たとえば繰り上げ返済をして返済期間が短くなった場合、その分の保証料は返ってきます。
これを返戻(へんれい)といいます。
ざっくり言うと、繰り上げ返済して期間が短くなるとそれに応じて、先に一括で支払った保証料が返ってくるわけですが、きれいに割合に応じて返戻があるわけでhないのです。
どゆこと?
たとえば、保証料60万円を一括で支払った場合(外枠方式)に、35年間で組んだローンの途中、17年目に一括返済したとします。
割合に応じて返戻があると、30万円返ってくるのですが、それがそうでもなく。
実際は、返戻による手数料を引かれ、戻ってくるお金はもっともっと少ないのです。
保証料の支払い方を戦略的に考えてみる(戦略的提案)
ここ数年つづく住宅ローンの低金利。
ぼくは基本的に「借りれるなら借りた方が得」だと考えています。
上の4つのシミュレーション結果、これだけ見ると一括の方が有利に見えますが、そう考えていなくて。
35年とか長い期間の返済ですから、その間に銀行の借り換え、買い換え(売却)が十分あり得ます。
借り換える(買い換える)際は、残りローン額に応じて、先に外枠方式で一括で支払った保証料がしっかり日割されて返還される・・・と思いきや、解約時には結構な手数料(借入額に関係なく一律)を取られて目減りします。
↑りそな銀行住宅ローンの繰り上げ返済の手数料(全部繰り上げ返済)です。
(くわしくはこちら)
というわけで、「外枠方式」「内枠方式」に関してはこんな感じで考えます。
- 住宅ローンを早めに返済する予定(できそう) → 内枠方式(分割支払い方式)
- 住宅ローンの借り換えがありそう → 内枠方式(分割支払い方式)
- 借り換えせず、繰り上げ返済もそんなにできそうない → 外枠方式(一括前払い方式)
そこで提案です
一括保証料分の現金を物件価格の頭金に充当して、借入額を減らして「内枠方式(保証料分割支払い方式)」で住宅ローンをスタートする。
これが、総支払額を一番減らすことができて、早期返済や売却・借り換えなどにも対応できるのではと思います。
上のシミュレーションをもう一度。
(1)シミュレーション1を再び
2,780万円の借入れで、借入金利0.625%(変動金利)・借入期間35年の場合。
●保証料外枠方式(一括前払い・金利そのまま)
借入金利(0.625%) → 3,095万8200円
保証料 → 57万3,069円
総支払額 → 3,153万1,269円
●保証料内枠方式(分割支払い・金利+0.2%)
借入金利(0.825%)→ 3,201万5,760円
保証料 → 0円
総支払額 → 3,201万5,760円
●保証料分60万円を物件価格の頭金にして、保証料は「内枠方式(分割方式)」で支払う
借入金額は2,720万円(頭金60万円を入れるから)、借入金利0.825%、借入期間35年で
借入金利(0.825%)→ 3,132万4,860円
(2)シミュレーション2を再び
2,880万円の借入れで、借入金利0.6%(変動金利)・借入期間25年の場合
●保証料外枠方式(一括前払い・金利そのまま)
借入金利(0.6%) → 3,102万0,900円
保証料 → 49万6,915円
総支払額 → 3,151万7,815円
●保証料内枠方式(分割支払い・金利+0.2%)
借入金利(0.8%)→ 3,178万5,300円
保証料 → 0円
総支払額 → 3,178万5,300円
●保証料分50万円を物件価格の頭金にして、保証料は「内枠方式(分割方式)」で支払う
借入金額は2,830万円(頭金50万円を入れるから)、借入金利0.8%、借入期間25年で
借入金利(0.8%)→ 3,123万3,600円
(3)シミュレーション3を再び
2,480万円の借入れで、借入金利0.725%(変動金利)・借入期間35年の場合
●保証料外枠方式(一括前払い・金利そのまま)
借入金利(0.725%)→ 2,808万6,660円
保証料 → 51万1,227円
総支払額 → 2,859万7,827円
●保証料内枠方式(分割支払い・金利+0.2%)
借入金利(0.925%)→ 2,904万0,060円
保証料 → 0円
総支払額 → 2,904万0,060円
●保証料分50万円を物件価格の頭金にして、保証料は「内枠方式(分割方式)」で支払う
借入金額は2,430万円(頭金50万円を入れるから)、借入金利0.925%、借入期間35年で
借入金利(0.925%)→ 2,845万4,580円
(4)シミュレーション4を再び
3,780万円の借入れで、借入金利0.6%(変動金利)・借入期間30年の場合
●保証料外枠方式(一括前払い・金利そのまま)
借入金利(0.6%)→ 4,131万3,240円
保証料 → 72万3,378円
総支払額 → 4,203万6,618円
●保証料内枠方式(分割支払い・金利+0.2%)
借入金利(0.8%)→ 4,252万9,680円
保証料 → 0円
総支払額 → 4,252万9,680円
●保証料分70万円を物件価格の頭金にして、保証料は「内枠方式(分割方式)」で支払う
借入金額は3,710万円(頭金70万円を入れるから)、借入金利0.8%、借入期間30年で
借入金利(0.8%)→ 4,174万2,000円
まとめると、
一括保証料分の現金を物件価格の頭金に充当して、借入額を減らして「内枠方式(保証料分割支払い方式)」で住宅ローンをスタートする。
参考になれば。
まとめ
4つのシミュレーションをみても保証料を含めてた支払総額では「外枠方式(一括前払い方式)」で支払った方が得になります。
ただ、毎月の返済額レベルでの支払い額の差はわずかです。
たしかに「外枠方式(一括前払い方式)」で保証料を支払うと総支払額では得ですが、目先の総返済額のちがいだけに惑わされずに、住宅ローンをどのように返済していくのかという視点が大事なのかもしれません。
シミュレーションをまとめました
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